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354話

ゴロゴロ

轟音が響き渡った。寧凡と凌狂の拳が激突し、血のような赤い光と紫黒の光がそれぞれ空の半分を占領していく。二人を中心に、恐るべき衝撃波が噴き出した。

二人はほぼ一触即離れ、すぐさま二筋の光となって再び相手へと向かっていった。二人の目には、計り知れない戦意が満ちあふれていた。

先ほどの一撃は単なる試し打ちに過ぎなかった。互角の力を感じ取り、相手が手強いことを悟った二人は、今度は全力で打ち込む。

瞬く間に二人は絡み合うように戦い始めた。恐ろしいほどの力が二人の間から解き放たれ、頑丈に作られた切磋場の地面にも亀裂が走り始めた。

「なんという肉体だ。狂の肉体は軍での数え切れないほどの鍛...