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670話

「でも明日の夜は出張で、今回は他の省へ行くから、戻ってくるのは一週間ほどになる」

「体に気をつけてね」妻が外の寝室にいるので、余計なことは言えず、一言だけ告げて相手の返事を待った。

宋芳玉の声には深い落胆が滲んでいて、別れの言葉を告げると電話を切った。

私はほっと息をついた。廊下を挟んだだけの距離だから、妻に気づかれたらと本当に怖かった。

トイレから出たところで、息子を寝かしつけて出てきた妻と鉢合わせた。「今、誰かと話してたの?誰に電話してたの?」張業の腕を枕にテレビを見ていた周璐が尋ねた。

「昔仲の良かった同級生なんだ。今日ここを通る出張で、夜の十時過ぎの列車で発つんだ。本当は会おうって言っ...