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1716話

「では、一杯お酌をさせてください」

「小辰、そんなに改まらなくていいよ。弟子に迎えた時から、もう他人とは思っていないんだから。さあ、師弟揃って乾杯しよう」

私と師匠はほぼ同時に、杯の酒を一気に飲み干した。

続いて師匠は料理を摘みながら言った。「小辰、知っているかい?もうずいぶん長いこと、お前のような若者が家に来て、しかもこんなに長く滞在してくれたことはなかったんだ。家内が亡くなってからは、時々寂しさを感じることがあってね。夜に誰かと話したくても相手がいない。朝は太極拳の時に数人の老友に会って、ちょっと話すくらいで、あとは一人きり。一人でいる時間が長くなると、どうしても人生に倦んでくるものさ。お...