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1622話

約30分後、ようやく私は肖春瑩の向かい側に誰かが座るのを目にした。

鴨舌帽を被った男で、黒いTシャツにジーンズ姿。帽子のつばが深く下がっていて、彼の顔はまったく見えなかった。

だが間違いない、この鴨舌帽の男こそが肖春瑩と接触する相手だ。

彼女はきっと地図を相手に渡すつもりなのだろう。

胸が高鳴り、思わず息を殺して、窓ガラス越しの二人の一挙手一投足を見つめた。

私の推測通りかどうか、その答えはすぐに明らかになるはずだ。

ところが男が座った後、肖春瑩と数言葉を交わしただけで、二人は揃って立ち上がったのだ。

肖春瑩は残った食べ物もそのままに、すぐに二人でケンタッキーを出て、エスカレーターの方向へ歩い...