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1300話

陸総にそんな風に褒められると、少し照れてしまった。

でも陸総がクリスの時間感覚について言ったことで警戒心が高まり、思わず時計を確認した。今は8時10分、あと20分ある。ホテルに着いてクリスを迎えに行くには十分間に合うはずだ。

案の定、私たちがホテルに到着したのは8時21分だった。

「クリスさんに先に電話しておきましょうか?」と私が尋ねた。

「必要ない。部屋番号は知っている」陸総がそう言って、私と共に車から降りた。

ホテルのロビーに入ると、思いがけず会いたくなかった知り合いに遭遇してしまった。なんと会社をクビになった元上司の喬森だった。

彼はロビーのソファに座ってスマホを見ていたが、私たちが彼を...