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772話

しばらく眺めていたが、李勝はすぐに飽きてしまった。船内には知り合いもおらず、五十近くのおじさんである彼に話しかけようとする人もいない。退屈に感じた李勝は、部屋に戻って林雪を探すことにした。

廊下の角を曲がろうとした時、慌てた様子の少年が急いで彼にぶつかってきた。少年は小さな声で謝罪すると、あっという間に姿を消してしまった。

李勝は特に気にせず頷いただけだった。「こいつが車を運転していなくて良かった。さもなければ事故は間違いなかっただろう」と心の中で思った。

彼はため息をつき、歩き始めようとした瞬間、懐に何か物が入っていることに気づいた。周囲を確認し、平静を装いながら自分の部屋まで歩き続け...