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711話

これも彼がそんなに焦っているのも無理はない。彼は若いころ南方で働いて資本を蓄え、年を取ってから故郷に戻ってこの風清池を開いたのだ。半生の貯金をすべてここに投じたと言っても過言ではない。もし何か問題が起これば、彼、老賀にはそんな打撃に耐えられないだろう。

道理で言えば、この風清池はすでに数年営業している。これまで老賀は上下に目配りし、ここでは何事もなく平穏に過ごしてきた。だが今日は、どの大物を怒らせたのか、朝早くから人が押しかけてきて難癖をつけている。

何カ所の赤信号を無視したかも気にせず、老賀が風清池に着くのにたった7、8分しかかからなかった。騒ぎを起こしている人を見ると、なんと顔見知りだ...