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56話

「でも、まだ足りないんだ!」

李勝は胸が痛くなるほど思い悩んでいた。

彼はコートを羽織り、トイレの近くで待ち伏せすることにした。

許晴はトイレに行くはずだろう?

案の定、間もなく許晴の姿がそこに現れた。

静寂の闇夜の中、許晴は遠くから兄の煙草の火を見つけていた。

彼女は心のどこかで笑みを漏らしそうになった。

自分がこうすることが兄への一種の責め苦だと知っていた。

李勝は素早く数歩前に出て、許晴を思い切り抱きしめ、その唇を直接封じ込めるように容赦なく侵略した。

大きな手はすでに薄い寝間着越しにその豊かな胸に慣れた様子で這い上がっていた。

「んっ!」許晴は小さな声で抵抗しながら、兄の狂おしい行動を...