




5話
「もう!あの人ったら!絶対わざとよ!」許晴は頬を真っ赤に染めて怒っていた。
これまで彼女は下着を密かに洗って、自分の部屋で干していたのに。こんなふうに堂々と外に干されたのは初めてだった。
許晴は慌てて下着を取り外した。もし他人に見られたら、どんな恥ずかしい思いをすることか!
けれど、最後に彼女はその小さな下着を鼻に近づけて、かすかに匂いを嗅いでみた。
ただ石鹸の香りがするだけ。
でも許晴には、何かが違うように感じられた。
結局、彼女の汚れ物の山から、どうして兄がこれだけを選んで洗って、わざわざここに干したのか。もしかして昨晩、自分が知らないうちに何か悪いことをして、それからわざとこれを洗って置いて、彼女に暗示しているのではないだろうか!
もう、ひどい人!
許晴は手の中の布地をこねくり回した。まるで彼の体を絞るかのように。
そして突然、昨日のことを思い出した。髪が少し濡れていた時、兄の温かい息が耳元をくすぐり、彼が言った言葉—「夜怖かったら、言ってくれ」
「あぁもう!何を考えてるの!」許晴は突然悔しそうに声を上げた。
そして何かから逃げるように、台所に戻り、兄の昼食の準備を始めた。
料理をしながら、何度も許晴の目は遠くを見つめるように虚ろになった。実は彼女は時々、工事現場に早く行きたいと思っていた。
顔を赤らめながら、許晴はこっそりともう一度スカートの中に手を伸ばした。
最近、許晴はスカートをよく履いていた。
スカートなら、思わず出てしまう自分の動きを隠せるから。
そう思いながら、指をゆっくりと中に滑り込ませた。今回は誰かがいることを気にする必要もない。台所の料理はまだ時間がかかるし、焦ることはなかった。
許晴の声は次第に大きくなっていった。
唇を軽く噛みながら、ゆっくりと自分の下着を脱いだ。
でもこれだけじゃ足りない!
全然足りないのよ!
どうすればいいの?
こんなことをしたら李陽に申し訳ない!彼はこの家のために一生懸命働いて、もう三ヶ月も帰ってきていないのに、自分がどんなに欲しくても、そんなことは…
でも、
許晴は突然、兄があの日お風呂で興奮していた表情を思い出した。それに、彼女が浴室から出てきた時の兄の熱い視線も。
兄も実は欲しいんじゃないの?
そうでなければ、許晴である自分に対して…
そこまで考えると、許晴の足はまた力が抜けてきた。
理性と欲望が彼女の心の奥で絡み合い、まるでこの台所の火のように、ますます激しく燃え上がっていった。
料理ができあがり、許晴は出発の時間だった。
彼女はすべてを整え、それから自分の服装を見下ろした。
許晴は美しさを大切にし、スカートが一番好きだったけれど、今日は工事現場に行くので、人が多くて口うるさいところだから、あまり着飾るわけにはいかなかった。だからこのスカート姿はかなり地味なものだった。
許晴は考え込んで、出かける直前にもう一度下着を取り替えた。
普通のものとは違い、前に隠しホックがついていて、軽く引っ張るだけで開いてしまうもの。
許晴の心の中には、実は、かすかな期待と恥じらいがあった。
自分の底線が、少しずつ崩れていっていることを、彼女は知っていた。
ただ、自分から積極的にならなければ、いいんじゃないかと。
自分から何かをしなければ、たとえ何かが起きても、夫への罪悪感はずっと少なくなるはず。
許晴はそう考えながら、籠を持って工事現場へ向かった。
道中、知り合いのおばさんたちが自分の夫に食事を届けに来ている姿をよく見かけた。多くの人が許晴を見ると、つい尋ねてきた。「あらまあ、あなたの旦那さんはいつ戻ってくるの?あなたをひとりぼっちにして、よく忍びないわね?」
許晴は苦笑いした。「仕方ないわ、うちの事情も知ってるでしょう。彼は忙しくて、普段から出張が多いの。プロジェクトで二、三ヶ月家に帰れないなんて、よくあることよ」
実際、彼女だって心の中で夫を恨んでいるのに。
まだ若いのに、彼のために独り身のような生活を送っている。もし兄が望むなら、身内で収めるのだから、結局は他の男を探したわけじゃないでしょう?
そう考えると、許晴を縛っていた糸は、自然とゆっくりと切れ始めていった。