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261話

高良の持ち物は多くなかった。スーツケース一つと段ボール箱一つだけだったが、その段ボールはかなり重く、宋梅が大家さんから受け取った時にうまく持ちこたえられず、中身が地面に全部こぼれ落ちてしまった。

精巧なボイスレコーダーが転がって李陽の足元に来た。彼はかがんでそれを拾い上げ、じっくりと観察していると、うっかり指がボタンに触れ、中の会話が再生されてしまった。

「高良、お前は本当に役立たずだな。あれだけチャンスを作ってやったのに、まだ手に入れられないなんて」

この女性の声は、まさに宋梅のものではないか。

しかも、ボイスレコーダーの音量がやや大きく、その場にいた全員がはっきりと聞こえていた。大家...