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332話

「でもさすがに相手は女子トイレの中にいるんだ。どうやって入って彼女の欲求を満たせばいいんだろう?」

私はトイレの入口で数分間立ち尽くし、中から聞こえる色っぽい美女の誘うような吐息を聞いていた。とうとう我慢できなくなった私は、文字が読めない馬鹿を演じることにした。

「あれ?ここおしっこする場所だよね?なんで二つドアあるの?どっち入ればいいの?」私は間抜けた調子で独り言を言った。

外から声が聞こえてきたことに、中にいた黄月仙は体を震わせ、思わず手の動きを止めた。まさかトイレの前に男が来るとは。自分が出していた吐息はその男に聞かれてしまったのではないか?

「きっとこっちだ、おしっこしよう」私は...