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16話

私はまず数歩後ろに下がり、それから勢いよく走り出して診療所に飛び込んだ。

鄭芸芸はこの時間にはもう誰も来ないだろうと思い、器具を使って自分を慰めていたところだった。まさに絶頂に達しようというその瞬間、思いがけず私が突然入ってきたのだ。

鄭芸芸は「あっ!」と大きな声を上げた。

彼女は慌てて立ち上がり、来訪者が私だと分かると、右手に持っていたリモコンのスイッチを慌てふためいて切った。やっと一息ついて、眉をひそめながら私を見つめた。「こんな遅くに何しに来たの?」

私はおバカな笑みを浮かべて言った。「鄭先生、校長先生から薬代を届けるように言われたんです」

そう言いながらポケットから張大全から渡さ...