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620話

さすがに本当なら、この太った男がよその妻とこんな卑猥な行為を、ここでやらかす勇気なんてないはずだ。

しかし林小涛が頭を悩ませていたのは、そのことではなく、太った男が口にした契約書のことだった。彼はその契約書の真偽を疑うことはしなかった。李婉婷もそばにいるのだから、太った男が適当なことを言うはずがない。

違約金などについては、彼はさほど気にしていなかった。だって今や自分は千万長者なのだから、自分の女のためにこれくらいの金を使うのは当然のことだ。

だが、このきもちわるい太った男に一杯食わされたと思うと、林小涛の胸中は穏やかではなかった。

「契約書はどこだ?見せてもらおうか」林小涛は声を落と...