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98話

「カン!」

金属の衝突音が鋭く澄んだ音色を響かせ、硬貨が二人の間の空き地に真っ直ぐ落下した。その銀針は見事に硬貨の中心部に突き刺さっていた。

双方が一度ずつ暗器を使ったが、どちらも優位に立てなかった。

秦越が先ほど放った針は単なる試し打ちに過ぎず、実力の三割ほどしか使っていなかった。案の定、宋青という老狐はそれを容易く防いでみせたのだ。

秦越は口元に微笑みを浮かべ、手のひらを曲げてから伸ばすと、指の間に再び銀針が現れた。ただし今回は一本多い。先ほど老狐は「三回ずつ暗器を使う」と言っただけで、何本の銀針を使うとは言っていない。これは反則にはならない。

秦越は針を放つ際に真気を注入したた...