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678話

この時、秦越は絹莉蔻の顔に浮かぶ媚びた笑みを見て吐き気を覚えた。

両手に真力を満たし、空中から絹莉蔻に向かって掴みかかると、「行け」と一声叫んだ。すると絹莉蔻は赤白い肉の塊のように、地面から音もなく浮き上がった。

ガラガラという音と共に、秦越は真力の移動術を駆使し、絹莉蔻を空中から掴み上げ、フロントガラスを失った七人乗り車の前から、直接車内へと投げ込んだ。

振り返ると、秦越は絹莉蔻が道の真ん中に脱ぎ捨てた上着が目に入った。拾い上げると、そこにはまだ血のついた二本の鋼釘が垂れ下がっていた。

こんな汚らわしいものを、きちんと片付けずに道に放っておくのは、それ自体が一種の穢れだ。

女悪鬼・...