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654話

吴艳を異動させてから、程雪瑶は楚潇の純粋さに目を付け、自分の側近秘書として迎え入れた。

楚潇は確かに純粋だが、あまりに世間知らずでもある。

そういう人間は忠誠心があり安心できるものの、少し頼りないところがある。それがちょっと困ったものだ。

「楚潇、コーヒーを一杯入れてきてくれる?」

程雪瑶が命じると、楚潇はコーヒーを入れに行った。

彼女の心はまた吴艳のことを考えていた。

吴艳が秘書だった頃は、まさに適任と言える人材だった。内も外も抜かりなくこなし、何一つ漏れがなかった。ただ、少し抜け目がなさすぎたのだ。

最後には彼女の側近を誘惑してしまうなんて。考えるだけでも腹立たしい。

そう思うと、程雪瑶...