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649話

秦越は呆然と携帯電話を手に持ち、賀老大たちを見つめた。突然、この老人向け携帯が重くて持ちきれないような気がした。

老人向け携帯の利点は音が大きいことだ。恐らく程雪瑶の言葉は、すでに賀老大たちの耳に入っていたのだろう。彼らも皆、茫然と秦越を見つめていた。

彼らは秦越の今の気持ちを理解できないかもしれないが、秦越の表情から察するに、兄貴の好意は完全に石に叩きつけられたようなものだった。

善意が裏目に出るとはどんな感じだろうか?

それは不快感だ。まるで火鍋を食べていてハエを見つけたような気分。喉に魚の骨が刺さったように、吐き出したくても喉に引っかかって、飲み込めばただただ苦しい。

昼時が近づ...