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575話

「丘胡子が香湯沐浴と言い出し、しかも最高規格だというので、秦越はどういう入浴になるのかまったく想像がつかなかった。

すでに没落の道を辿っているこの門派で、門主継承の祭祀儀式の前に香湯沐浴を行うなんて、少し大げさすぎるのではないだろうか。

この香湯沐浴について、中医学の範囲内でも記録はある。秦越は秦家の老人に医術を学ぶ過程で、こういったものがあることを知っていた。

秦越の記憶によれば、いわゆる香湯沐浴は道教の秘伝で、沐香湯とも呼ばれる。よもぎ、菖蒲、蘭草などの香草を鍋で煮出し、それを「香湯」と呼び、適温になるよう水を加えて、その中に浸かるというものだ。目的は病を払い、災いを避けることにある...