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551話

秦越は義道門の門主になるのを待っていた。彼は江湖へ足を踏み入れようとしていたのだ。それは窮地に追い込まれた結果ではあったが、彼は後悔していなかった。

彼の心には、いつまでも手放せない雪瑶姉さんのことが引っかかっていた。

そのため、門主就任の儀式が始まるまでのわずかな時間に、段天を遣わして程雪瑶の様子を探らせた。彼女が危害やいやがらせを受けていないかどうかも含めて。

秦越の心配は正しかったが、彼が想像もしていなかったのは、程雪瑶に最初にトラブルを持ち込んだのが、火蟒派の刺客たちではなく、可愛らしい尤可児という少女だったことだ。

秦越は心の底から程雪瑶を手放せなかったが、尤可児のことを疎か...