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548話

丘ひげが秦越を義道門の新しい門主として支持するのは、確かに私心があってのことだった。

人は高きを目指し、水は低きに流れる。自ら堕落を選ぶ者を除けば、誰もが百尺竿頭、さらに一歩を進めたいと思うものだ。

丘ひげも例外ではない。彼は義道門で長年武師を務めてきた。門主になるチャンスがあれば、そんな機会を逃したくはなかった。

しかし、義道門が今直面している状況を考えると、門主の座に丘ひげは手を伸ばす勇気がない。野心はあれど度胸がなく、それでいて手放す気もない典型的なタイプだった。

彼の心の奥底では分かっていた。仕事がどれほど大事でも、生きることには勝てない。義道門は今や四面楚歌、外には強敵、内には不安要...