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499話

段天は手首を掴まれ、内心で苦しみを感じた。

江湖を渡り歩くのは難しいと言うが、今はさらに厳しくなっている。足の踏み場もなく、芸を売って食い扶持を稼ごうとしても、各所に顔を出して挨拶し、いくつかの許可を取らなければ、この苦労して得る金すら安心して稼げなくなった。

しかし人の縄張りに入れば、その掟に従わねばならない。この道理くらい段天も心得ている。地面に落ちた帽子から散らばり出た小銭を見ながら、段天は頭を下げて大口の男に丁寧に話しかけた。

「兄貴、話し合いましょうよ。ここで芸を売るなと言うなら、すぐに立ち去ります。二度とここには来ません」

大口の男は段天の手首を掴んだまま、散り始める人だか...