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405話

「馬鹿は馬鹿なりに幸せを掴むものだ」と言うが、秦越は段氏兄弟こそまさにそういう人間だと感じていた。

何事にも頭を悩ませることなく、ただ日々を過ごし、彼、秦越と出会ってからというもの、何一つ不自由なく暮らしている。

住む場所は確保され、食事も衣服も秦越が一声かければすべて解決する。普段の小遣いにも困らない。まさに福の神が二人も転がり込んできたようなものだ。

普段、秦越も彼らに文句を言うことはなかった。兄弟だし、彼らに福があれば、それが自分にも良い福をもたらすかもしれないと思っていたからだ。

「よし、帰って着替えてきたら、すぐに兄貴に電話して呼び戻せよ。外をうろつき回らせるな」秦越は段崖に...