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400話

秦越が必死に考えても、こんな荒野の地でこのような事態に遭遇するとは思いもよらなかった。

彼は済州百草堂の中医病院から出てきたばかりだったが、この一件は不思議すぎて言葉にならない。山奥から一晩中走って出てきて、乗った車は霊柩車、途中で強盗に遭い、空腹のままここに辿り着いたと思ったら出産する女性に出くわすとは。これは一体何の巡り合わせだろうか?

天の悪戯とはこのことか。運の悪さから逃れられないなら、せめて避けておこう。

そう考えた秦越は土壁の家の戸口で静かに身を翻し、立ち去ろうとした。

「英雄さん——助けて。もうダメかもしれない」

女性の叫び声に、秦越は背筋が凍った。大声出したって無駄じ...