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396話

中年夫婦はこの時点でも、秦越を連れてここから離れたいと思っていた。生きる希望を見つけても、自分たちだけで逃げ出そうとはしなかった。

秦越は心の中で彼らに感謝の意を表した。他の人々は秦越がヒッチハイクしているのを見ると、クラクションを鳴らしたりライトを点滅させたりして急いで通り過ぎていった。しかし、この労働者階級の夫婦は、既に積載量オーバーの車を止めて、秦越を乗せようとしてくれたのだ。

これは高潔さとまでは言えないかもしれないが、彼らがまだ人間としての本質を持っていることの証だった。少なくとも人に対して信頼の気持ちを残しているのだ。金銭至上主義の今日において、人間らしさを保っている人々に拍手...