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391話

吹いた牛のせいで喧嘩になる事例は珍しくない。だが、現役の警備参謀と外部から来た中医師が、ほんの数言葉で殴り合いになるというのは少々奇妙だった。

しかし、それは確かに起きていた。しかも現在進行形で……

二人は夜空の下、打ち合い、蹴り合い、せめぎ合っていた。時には絡み合って激しく戦い、時には離れて睨み合う。

十数回戦を交わしても、年齢の近いこの二人の意地の張り合いは勝敗がつかなかった。

若さゆえの血気盛んさと強がり、お互い引かず譲らず。

一方は謝罪を求め続け、もう一方はお前など何様だと言い返す。

再び組み合った二人は、腕を交差させて一瞬停止した。その短い間に、秦越はふと「ヒュッ」という...