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374話

人は邪念を抱くべきではない、特に邪念を趣味としてはならない。気づかぬうちに邪念を趣味にまで高めると、徳を失うのも遠くない。

秦越が昏睡から目を覚ました時、全快の喜びを感じると同時に、林蓉の魅力的な後ろ姿を見て、邪念はたちまち昇華し、趣味のレベルにまで高まった。

彼は心の中で狂喜し、目を開けるとすぐに林蓉の姿があった。これこそ、死地を逃れた者に必ず幸福が訪れるという言葉の真の姿だと思った。

他に何があるというのか?今目の前にあるチャンスをつかみ、現実の幸福を享受するべきなのだ。

この感覚は、一度死を経験した者だけが持つ現実的な感覚だろう。なるほど、「今を生きる」という言葉の重要さが、今に...