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367話

林蓉が腰を揺らしながら歩き去った。軍服姿の彼女は何とも言えない色気を漂わせていた。秦越はその場に立ち尽くしたまま、ぼんやりと考え込んでいた。

林蓉の言葉を思い返す。彼女の上官は度量が狭くないと言ったが、兎肉を二食分借りているというのは一体どういう意思だろう?

善意を仇で返すとはこのことか。肉類を控えさせたのも彼のためじゃないか。まるで自分が大食漢であるかのように。こんな兎すら糞をしないような場所——いや、こんな辺鄙な山奥に来なければ、どんな美味しいものだって食べられたはずだ。わざわざ彼の兎肉を二食分も奪わなくても…。

兎肉を二食分借りた?いいだろう、ここを離れる時には、驢馬二頭分で返して...