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351話

秦越の賢さは知恵とは言えないが、自分の逃げ道を確保することは心得ていた。

あの専門医は厄介事から早く逃れたくて、根本的に将軍の頭痛問題を一気に解決しようとして、手術は無理だと即答してしまった。だがそれは、ほとんど将軍を行き止まりに追い込むようなものだった。

他人の道を塞いでしまえば、その相手が自分に生きる道を残してくれるだろうか?

今やあの専門医は庄錦に連れて行かれ、この場に残されたのは秦越だけ。もう少し用心しないと、あの専門医の二の舞になりかねない。

秦越がただそこに立ったまま動かないのを見て、蕭将軍はまた少し苛立ちを見せた。

「こっちに来いと言ったのに、そこに立ったままとはどうい...