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340話

「東風猛士」はさすが名車の名に恥じない。そのカーオーディオも実に素晴らしい。

音量をそれほど大きくしなくても、二曲が流れ終わる頃には、秦越はすっかり眠気が飛んで闘志が湧いてきていた。

三曲目が始まった——「西の太陽がまさに……」秦越はたちまち耐えられなくなった。この高尚な音楽の妙味を全く理解できなかったのだ。

彼は手を伸ばして庄錦の肩を軽く叩いた。「兄貴、お願いがあるんだけど、別のチャンネルに変えてくれないか?俺の鑑賞レベルじゃちょっと届かないんだ」

「面倒くさいな、音が鳴ってりゃいいだろ、チャンネル変えろだなんて」庄錦は小さく呟いたが、それでも車のスピードを落として、ボタンを押してラ...