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313話

リビングには秦越と尤可児だけが残された。静かになった途端、秦越は極度の疲労を感じた。

「可児、水を一杯持ってきてくれないか。十分ほど休ませてほしい」

尤可児は秦越の顔を見た。蒼白い顔に疲労の色が浮かんでいる。十分休むと言うからには、本当に疲れているのだろう。学校だって休み時間は十分あるのに、まして今、お兄ちゃんは本当に力を使い果たしたのだ。

尤可児は返事をして、立ち上がって水を汲みに行った。

水を持って戻ってくると、秦越が手を伸ばして受け取ろうとしたが、尤可児は淡く微笑んで言った。「動かないで、私が飲ませてあげる」

「いや、それは遠慮しておくよ。ここに置いてくれればいい」

秦越は単...