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290話

秦越は渡辺の相手をする気など微塵もなかった。亨利についてここに来た時から、秦越は彼に良からぬ考えがあると感じていた。

何一つ前向きな役に立つことはせず、ただ亨利の前で愚かな振りをして、事を荒立てて是非を持ち込むだけだ。

患者がお酒を飲めないというような些細なことまで取り上げて絡んでくるなんて、これは明らかに意図的にケチをつけているだけではないか?島国の患者たちの間では、みんな禁酒しないものなのか?

誰もが大病を患ったら、一杯飲んで憂さを晴らし、泥酔して病気のことを忘れればいいとでも?

秦越は渡辺のこの無知で愚かな質問に答える価値すら感じなかったが、彼のしつこく食い下がる一本気な精神には...