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261話

この夜はとても退屈だった。秦越はまだ閉店していない麺屋に立ち寄り、油で揚げたパンをいくつか買って段崖と食べた後、車の中で着衣のまま眠りについた。

夜明け前、秦越は里街を車で出発した。

車の揺れで段崖が目を覚ましたとき、彼らはまだ山間の道をぐるぐると回っていることに気づいた。

「越兄貴、俺たち来た時にはこんな道通らなかったよな?」と段崖が尋ねた。

「言っただろ、まだ用事が済んでないって。あとでまた里街に戻るんだ」

段崖は秦越が何をしようとしているのか分からなかったが、とにかく彼がリーダーで、車も彼が運転しているのだから、それ以上は何も聞かずに、ただ薬箱を抱きしめていた。

小さな町に着...