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257話

曲烟袋は街角のベンチに腰掛け、長い煙管を横に構えると、翡翠の吸い口を唇に当てて一気に吸い込んだ。濃い煙が口から噴き出し、銅製の火皿は熱で少し赤くなっていた。

秦越は頭を下げたまま、正面から老人を見る勇気がなかった。

考えてみれば、秦越の実力は錦段位の中級以上の高手だ。段涯がどんなに弱くても、通常なら十人や八人を相手にしても楽に勝てるはずだ。

しかし、二人がかりでも目の前のこの六十代の老人に勝てなかった。それどころか、秦越が霸道の真気を放っても、相手の毛髪一本すら傷つけられなかったのだ。

これは相手の功法が優れているだけでなく、神業のような軽功も極めていることを示していた。

この一戦を...