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255話

この薬屋は百年の老舗と自称しているが、少し大げさとはいえ、この辺りではそれなりに名が知られている。

店の経営者もこの店で長年勤めてきた人物だ。彼は常に外回りで薬を売り歩いており、豆根の注文があれば部下に任せるだけで、そんな細かいことまで区別していられるはずがない。

秦越がペラペラと延々と話し続けるのを聞いて、薬屋の経営者は内心冷や汗を流していた。

まさかこの一見普通の若者が本当に腕を持っているとは思わなかった。こうして薬材を手に取るように詳しく区別できるなんて、確かに並々ならぬものだ。

しかし、このまま彼に話させ続ければ、人を惑わすとまでは言わないが、薬材の内幕をすべて暴露されるような...