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254話

この薬屋は百年の老舗と称され、大多数の人々の目には信頼に値するものだった。

しかし秦越と段涯が来るなり、薬品に粗悪品を良品と偽って売る問題を発見し、薬屋の店長と揉め事を起こしてしまった。

彼ら二人が薬屋から逃げ出したなら、それでおしまいだったかもしれない。相手が本当に彼らに何かできるわけがないのだから。

だが秦越は、済州から千キロ近く離れたこの地で、互いに譲らず争いになれば、立ち去りたくても上手く立ち去れなくなることを恐れていた。だからこそ、はっきりと理論で決着をつける決意をしたのだ。

漢方薬材の見分け方については、秦越は八九割は正確に識別できる自信があった。喧嘩となれば、彼と段涯はさ...