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218話

秦越は瑶瑶が食堂から出ていく様子を物欲しげに見つめていたが、老人はまだ話し始める気配を見せなかった。

そのとき、空に一筋の光が走り、一瞬で消えた。

「雨が降りそうだな……」

老人は椅子に座ったまま、無表情で、ぽつりとそう言うと、また思考に沈んでいるようだった。

秦越は老人の沈黙の中から何かを感じ取った。あれほど練達の人物である老人までがこのような状態に陥るとは、瑶瑶を連れて省都に行った今回の用事は、どうやら上手くいかなかったようだ。

あるいは、老人の心に何か懸念が生まれたのだろう。ただ、秦越には言いにくいことなので、唐突に雨の話を持ち出したのかもしれない。

大物が思索に耽っていると...