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202話

美人の悩みは追いかける人がいないことではなく、自分が眼中にない男に執着されることだ。

尤可児はまさにそんなジレンマに陥っていた。彦高の家は金持ちだが、彼女の家だって裕福だ。尤可児は自分が世間一般の俗っぽい考えに縛られることなど一度も心配したことがなかった。

男友達を選ぶ際に相手の経済力や家や車の有無を見るなんて。もし縁があれば、将来の理想の夫を自分の家に迎え入れ、家族が全ての物質的条件を提供することさえ全く厭わない。

だが、自分のこの少しばかりの優位性だけで、適当に誰かを彼氏にするわけにはいかないだろう?

尤可児は秦越を見た。彼は確かに自分の命を救ってくれた人だし、見ていて不快でもない...