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182話

秦越は紫羅蘭レジャープラザのビル前に車を停め、人目につかない場所に駐車した後、階段脇の彫像の陰に身を隠し、建物内の様子を静かに観察していた。

ビルの外観は相変わらず静かで、建物の角に沿って輝くネオンだけが、常連客たちにここがまだ安全であることを知らせるように点滅し続けていた。

袁虎に連れられて一度中に入ったことがなければ、秦越はこの済州の中心地にこんな金を使って楽しむ場所があるとは想像もしなかっただろう。

外から見ると、このビルはごく普通で、何の変哲もない。袁虎が漏らしたところによると、面白いものは全て8階より上にあるらしい。だから、たとえ誰かがビルの正面玄関を通り過ぎても、その高層階に...