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170話

人が不運というのは、冷たい水を飲んでも歯が詰まるということだ。

秦越が落ちていく瞬間、胸元に彼の名前が刻まれた半分の翡翠が橋の角に引っかかり、鋭い縁が彼の胸を深く突き刺した。

秦越は胸の辺りが「ズキッ」と痛み、その痛みから熱い気が体内へどんどん流れ込むのを感じた。

以前は、秦越が危険な目に遭うたびに、翡翠から冷たい感覚が伝わってきたものだが、今回はなぜか熱さを感じるとは。これは本当に不思議なことだった。

胸からの激痛は耐え難く、秦越は急速に水面へと落下していく中で、頭の中が「ボン」と鳴り響き、気を失ってしまった。

秦越は自分がこの見義勇為の過程で死ぬかどうかわからなかった。飛び込もう...