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166話

秦越はすでに罠にかかっていた。袁虎は彼の言葉からそれを感じ取った。

こんなにも順調に事が運んだことに、袁虎は考えを巡らせた。この恋愛初心者の秦越がその貴婦人と一度寝れば、写真を撮って、叔父の袁厲のところへ手柄を報告し、褒美をもらえるというわけだ。

個室の前まで大股で歩いてきた袁虎は、秦越に向かって親指を立てた。秦越は軽蔑の眼差しを返し、ドアを開けるよう合図した。

袁虎はドアを勢いよく開け、中へ向かって声をかけた。「来ましたよ」

中で待ちくたびれていた貴婦人は、人が来たと聞くや否や、椅子から立ち上がった。

彼女はまさに「三十で波立ち、四十で荒れ、五十で波の頂きに達する」タイプで、若い男...