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128話

ドアが開き、よろよろと一人の男が入ってきた。

老婆さんは体を苦しげに傾けて外を見ようとした。秦越はソファから立ち上がり、二歩でエントランスホールの外に出た。

その人物はちょうど背を向けてドアを閉めているところだった。後ろ姿から見ると、体格ががっしりとして、普通のTシャツと普通のジャージを着ていた。

ドアを閉めて振り返ると、その姿はやや滑稽に見えた。

大きな腹を抱え、Tシャツは少し小さくて体にフィットせず、腰の辺りで肉がはみ出していた。丸々とした顔は油ぎって真っ赤に膨れ、分厚い唇からは酒の匂いが漂っていた。

左手には汁気のあるものが入った袋を二つ提げていた。歩くたびに体が大きく揺れ、相...