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11話

秦升は医館に駆け込み、祖父が受付カウンターの横のコンクリートの床に横たわっているのを見つけた。秦老人の口元と胸元からは絶え間なく鮮血が流れ出し、短剣が深く胸に突き刺さり、柄の部分だけが外に出ていた。

秦升は祖父のその姿を目にし、完全に呆然となった。彼は拳を強く握りしめ、涙が溢れ出るのをこらえながら、「爺さん!」と掠れた声で叫んだ。

秦升の呼びかけを聞いたのか、秦老人はゆっくりと目を開け、苦しげに小さく咳き込んだ。秦升はすぐに駆け寄り、地面に屈み込むと、祖父の上半身を抱き起こし、自分の胸に寄りかからせた。

「升や、神農...医書が...鼠どもに奪われてしまった...必ず...必ず...」

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