1話
仁康病院の救急室にて。
担当医師の張文は疲れ切った表情で救急室から出てきた。マスクを外し、額の汗を拭うと、小さくため息をついた。
「張先生、私の祖父の容態はどうですか？」
声をかけたのは白いキャミソールワンピースを着た、清楚で可愛らしい女性だった。彼女の潤んだ大きな瞳には心配の色が満ち、切迫した表情で担当医の張文を見つめながら尋ねた。
張医師は首を横に振りながら言った。「私たちにできることはすべてやりました、程さん。お爺さんは心筋梗塞が原因で脳出血を起こしています。命が風前の灯火なんです」
程雪瑶はそれを聞くと、力なく壁に寄りかかった。彼女は口を押さえ、声を出して泣き出すのを必死に堪えていた。
「誰か、誰か祖父を助けて！」彼女は心の中で叫んでいた。
祖父の慈愛に満ちた顔と、日頃の彼の溢れんばかりの愛情を思い出すと、程雪瑶の涙は糸の切れた数珠のように、止めどなく頬を伝った。
突然、彼女は張医師の腕をきつく掴み、大声で叫んだ。「どうか祖父を治してください！どんな代償を払ってもいいから、必ず助けてください！」
張医師は彼女の今の気持ちが十分に理解できたが、どうすることもできなかった。このような突発的な症状、特に脳に関わるものは、現在の医療水準では痛みを和らげることしかできず、根本的な治療は極めて難しいのだ。
「あなたは私の祖父が誰か知っていますか！彼は程彦なんです！済州市の大慈善家で、一生涯で数え切れないほどの人々を助けてきました。祖父の寄付がなければ、今頃は飢え死にしていたかもしれない人がどれだけいることか。どうか祖父を救ってください、死なせないでください！」
張医師は無力感に溢れた溜息をつき、言った。「今できることは緊急医療チームを編成し、病院内の権威ある専門家たちを集めて、お爺さんの症状について協議することです。最短時間で最善の治療法を見つけられるよう願うばかりです」
病院の会議室にて。
パン！
張医師はプロジェクターの電源を切り、皆の前に立って言った。「今お見せしたスライドが、現在の程お爺さんの脳内の状況です。ご覧のように、脳内出血の状態はすでに非常に深刻です。手術をすれば症状が悪化し、お爺さんの容態がさらに重くなる恐れがあります」
会議室には神経科だけでなく、産婦人科や小児科の専門家まで緊急招集されていた。各分野の専門家たちが一堂に会し、それぞれの意見を述べ合っていたが、誰も相手を説得できず、誰一人として自分の治療法で程お爺さんの病を治せるという確信を持てずにいた。
張医師は議論を交わす皆の様子を見ながら、眉間のしわを深くした。どうしたらいいのか。お爺さんの命は風前の灯火で、自分の能力には限りがある。万が一のことがあれば、ご家族にどう説明すればいいのか。しかも程お爺さんは著名人なのだ。もしメディアの注目を集めてしまったら……
張医師はそこまで考えて冷や汗が出た。もしメディアに報じられれば、市民の非難を浴びるだけでなく、病院の評判も傷つくだろう。市民が病院の能力に疑問を抱けば、誰がここで治療を受けようとするだろうか。最悪の結果は考えたくもなかった。
「お爺さんの病気、僕なら治せます！」
サッ！
さっきまでガヤガヤと議論していた声が、一瞬で静まり返った。全員が一斉に会議室の片隅を見つめた。
髪は乱れ、眠そうな目をした若い男が、手を挙げながらゆっくりと席から立ち上がった。