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876話

「その時、女性の視線が無意識に小王の上に落ちた。顔には迷いが浮かび、呼吸が急速に荒くなる。「あなた、もう帰りたい。ここにはいたくないの」

柔らかく力のない女性の声には、どこか綿々とした無力感が漂っていた。彼女は狼狈な様子で、ベッドの端から二、三歩で夫の前まで来ると、そう言葉を紡いだ。

しかし、強い興奮で力なく崩れそうな体はもはや制御できず、夫に近づいた瞬間、小王に抱きついてしまった。

その後の行動はもはや女性自身の意思ではなかった。男性の体に触れた瞬間、彼女は恥ずかしげな声を漏らしてしまう。

そして夫を抱く両手は彼の背中を這いまわり、自制心を失った女性は今や自ら艶めかしいあごを上げ、夢中で小王...