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828話

画面を見ていると、突然に嫌な予感が胸をよぎった。

まさか、あの太った老いぼれが飲んでいたのは、自分を強くする薬なのではないか。グラスの中で揺れる粉末は水と混ざり合い、透明になっていた。何が入れられたのか、見た目では分からない。

そして、林志山はそのグラスの水を飲まなかった。つまり、妻のために用意したものだったのだ。

私の心臓が締め付けられた。数秒間デスクの端を掴んだ後、ゆっくりと力を抜いた。

今、興奮したところで何になるだろう?これはすべて昨夜起きたことなのだ。今日の妻があれほど疲れ切って眠りたがっていたこと、私の前で昨夜のすべてを隠そうと必死だったことを思い出す。

この男が妻のため...