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780話

そんな穏やかな状態の中で、私はかすかに携帯電話の向こうから聞こえてくる肌と肌がぶつかり合う音に気づいた。

そう、パンパンという音だ。拍手のような音、身体同士が衝突する時にしか生まれない独特な音。そして妻は必死に抑えようとしていたものの、時折聞き取れないほどの小さな吐息と鼻にかかった美しい声が漏れていた。

その声からは妻が苦しんでいるように聞こえたが、私は妻と長年連れ添ってきたからこそ分かる。あの苦しげな声の中には、抑えきれない快楽と喜びの感情が混ざっていることが。

妻の声はいつもと少し違って嗄れていた。これを聞いて思ったのは、もしかして妻を不当な関係に引きずり込んだ上司が、私のセクシーで...