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551話

「結局、標的は誰なんだ?」

妻は少し恥ずかしそうに頷いた。「まあ、私のクライアントよね。あなた、変に考えないで。私は絶対にあなたを裏切るようなことはしないわ。ただ今夜、友達に刺激されて、ふと思い出しただけなの」

妻の言葉に、私の胸の内で怒りの炎が燃え上がった。

私が怒って顔を曇らせるのを見て、妻はすぐに話し始めた。いつもと変わらない柔らかな声で「ほら見て、言ったとたんに怒るんだから。そんな態度じゃ、もう何も話せないわ」

そう言うと、薄い掛け布団を引き寄せて火照った魅惑的な身体に掛け、横向きになって私に背を向けて寝てしまった。

夜、十分に疲れていたにもかかわらず、少しも眠気は訪れなかった...