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226話

私は顔を上げて周囲を見渡した。ここは思っていたようなところではなかった。人数は決して少なくなく、あちこちに百人ほどが点在し、それぞれの湯船に分かれていた。

老人たちも何人かいたが、彼らはみな温度の高い湯船に浸かっていた。両側には背の高い垣根の塀があり、混浴エリアの湯と男女別のエリアの湯は繋がっていた。中央の混浴エリアを源として、両側へと広がっていたのだ。

意外だったのは、混浴エリアに女性が来ているだけでなく、その数が明らかに男性より多いことだった。男性は三十人ほどしかおらず、みなカップルで来ているようだった。若い人たちはたいてい二、三人のグループで小さな湯船で自分たちだけで楽しんでいた。

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