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55話

「虎子、お前は葉社長のことをどう思う?」

道中、私は口を開いた。外の清々しい風に吹かれ、郷土の香りを嗅ぎながら、静かに微笑んだ。

虎子は車を運転しながら、バックミラーから私を見ることもなく、淡々と言った。「葉社長はいい人です。俺に教えてくれたんですよ。俺の母さんの命を救ったのは強兄貴だって。もし強兄貴が彼女に頼まなかったら、葉社長は手を出さなかったと言ってました」

「ほう?葉社長は他に何か言っていたか?」私は微笑みながら続けた。

「葉社長から警告されました。あなたをしっかり守れ、何でもあなたの言うことを聞けってね」

この言葉を聞いて、私は深くため息をついた。どうあれ、虎子への疑いはまだ晴れてい...