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120話

「行く前に、女は虎子に名残惜しそうに口づけをした。

目の前に立つ虎子の顔には、まだ口紅の跡が残っていた。

「強兄貴、情報を掴みました!」虎子は急いで言った。

虎子の顔を見つめながら、心の中で思わず苦笑してしまった。古来より英雄も美女の前には弱いというが、実直な虎子とて例外ではないようだ。

「強兄貴、実は薔薇クラブで誰かが麻薬を売ってるんです!」

虎子は歯を食いしばって言った。女の話によると、彼女は大学を卒業したばかりで、同級生に誘われてここに来て、酒を一杯飲んだだけで完全に堕ちてしまったという。

自分の体をコントロールできなくなり、それからというもの毎日ここに入り浸って、同級生と一緒に自分を放...